「豊稔池えん堤」重文指定へ 文化審議会が答申

2006/10/28 09:51

 

重要文化財に指定される豊稔池えん堤=観音寺市大野原町多野々

 国の文化審議会(阿刀田高会長)は二十七日、香川県観音寺市大野原町田野々の豊稔池えん堤を重要文化財(建造物)に指定するよう、伊吹文明文部科学相に答申した。コンクリート製ダムの築造が始まった草創期のもので、水圧を分散するマルチプル(数多くの)アーチ、洪水を防ぐサイホン式余水吐を備え、歴史・技術的価値が高く評価された。
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 香川県内の建造物が重文に指定されるのは、二〇〇一年の旧善通寺偕行社(香川県善通寺市文京町)以来、五年ぶり二十六件目で、昭和以降の建造物は初めて。

 豊稔池ダムは一九二六年三月に着工、二九年十一月に完成。水利の便が悪く、干ばつが絶えなかった大野原地区で水源確保のために計画した農業用ため池で、重文指定されるえん堤は高さ三十メートル、長さ百四十五メートル。

 同ダムは基礎工事の段階で地盤の弱さが判明。通常の重力式では水圧に耐えきれないため、五つのアーチを組み合わせて水圧を分散する斬新な工法を採用した。また、集中豪雨時に洪水を安全に排出するため、扶壁にサイホン式余水吐を設置。満水近くになると自然放水する仕組みとなっている。

 厳しい地理条件を克服した技術的な工夫に加えて、コンクリート製ダムの築造が始まった昭和初期の遺構という歴史的価値も高く、今回の重文指定答申に選ばれた。

 当初は「田野々池」と呼ばれたが、完成間近に現地を視察した県出身の三土忠造蔵相が「このため池で大野原が豊かに稔(みの)ってほしい」と願いをこめて「豊稔池」と名付けた。山間部にそびえる西洋の古城のような外観で西讃屈指の観光スポットとして知られ、七月下旬の「ゆる抜き」は夏の風物詩として人気を集めている。

観光の目玉に
 白川晴司観音寺市長の話
 大変喜ばしい。旧大野原、旧豊浜両町と合併し、昨年十月に誕生した新市の観光の目玉と位置づけている。有明浜の銭形「寛永通宝」などの観光資源とリンクさせ、今後はより一層、全国に向けて「観音寺」をPRしていきたい。

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