丸亀市塩飽本島町笠島伝統的建造物群保存地区
  ●重要伝統的建造物群保存地区 13.1ha  ●本島町笠島の一部個人等
  ●昭60.4.13 国指定

 伝統的建造物群保存地区
 
 昭和50年の文化財保護法の改正によって伝統的建造物群保存地区の制度が発足し,城下町,宿場町,門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られるようになった。市町村は,伝統的建造物群保存地区を定め,国はその中から価値の高いものを重要伝統的建造物群保存地区として選定し,市町村の保存事業への財政的援助や必要な指導または助言をすることができるとされている。

 重要伝統的建造物群保存地区については,市町村が,条例で保存地区の現状を変更する行為の規制などの措置を定め保護を図っており,文化庁長官または都道府県教育委員会は,市町村に対し保存に関し指導助言を行うほか,管理,修理,修景(伝統的建造物以外の建造物を周囲の歴史的風致に調和させること)などに対して補助を行っている。

 また,重要伝統的建造物群保存地区は主に木造の建築で構成されており,防災,特に火災に対する対策が必要なため,市町村は景観に配慮した防災施設等の整備事業を計画的に進めている。これについても,文化庁長官または都道府県教育委員会は,市町村に対し指導助言するとともに補助を行っている。

 平成16年12月10日現在,重要伝統的建造物群保存地区に選定されている地区は,59市町村で66地区(合計面積約2,520ha)あり,約11,700件の伝統的建造物が保存すべき建造物として特定されている。

 重要伝統的建造物群保存地区一覧
(文化庁HP)
 全国伝統的建造物群保存地区協議会


 本島町笠島は、島の北東端にある小さな港町で、北側が港、東西と南の三方は丘陵に囲まれている。こ、の港は、塩飽諸島の中でも最良のものとされ、中世以来、塩飽水軍、塩飽廻船の根拠地として繁栄し、瀬戸内海を航行する船の停泊地や修理場にもなっていた。

 海と丘陵に囲まれた集落には、狭い道路が網の目のように走っている。あるものは湾曲し、またあるものはT字型や十字型に交差し、道路幅も違って、見通しが効きにくい構成になっている。このうち、集落の東寄りを南北に走る道を東小路(とうしょうじ)、これと直角に海岸とほぼ平行して弓なりに伸びる道をマッチョ通り(町通りの転訛(てんか))と呼んでいる。通りに面して、格子構えに虫籠(むしこ)窓を設けたツシ2階建の町屋形式の住宅が並び、落ち着いたたたずまいの中に、中世の城下町の面影をとどめている。住宅の多くは、主屋(おもや)のほかに納屋などがあり、敷地の周りに土塀を巡らせているものも少なくない。主屋は本瓦茸(ほんがわらぶき)、土壁を厚く塗るのが伝統的な形式で、壁に瓦を張るなまこ壁の建物も多い。また、坂道に沿う建物は、高く積んだ切り石の基礎の上に建っている。

 建物は江戸時代のものが13棟、明治時代のものが20棟ほど残っているが、大正・昭和初期のものも伝統的な構造と意匠をよく受け継いでいる。これらの建物で構成する建造物群は、周囲の自然環境の豊かさともあいまって価値が高い。

 笠島は三方を丘陵に囲まれ、集落内に網の目のように張り巡らされた狭い道路と、これに取り付くように建つ住宅、周辺の山際(やまぎわ)に配置された寺社など、中世以来の町並みの規模・形態がよく保存されており、瀬戸内の島々における典型的な港町の状況を知ることができる。

 昭和60年の選定以来、伝統的建造物群を中心とした建物等の保存・修理、道路・側溝・空き地等の修景事業を進めており、往時の町並みや景観を復元しつつある。  
(丸亀市教育委員会発行:丸亀の文化財)


江戸から大正の名残をとどめる笠島の町並み

 国の「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受けている笠島の集落は、本島の北東端にある小さな港町で北面に天然の良港が開け、三方は丘陵に囲まれていまも笠島は、またの名を城根と呼ばれるとおり、塩飽水軍の根拠地でもあり、集落の東にある城山には土塁、堀切、見張台跡なども残されています。

 集落内には、狭い道路が網の目のように通り、このうち集落の東寄りを南北に走る東小路と、これと直交して弓なりに通るマッチョ通りはやや道路幅が広くなっていまもこの通りに面して、正面を千本格子の窓をあしらい、本瓦葺きで土壁を厚く塗った町屋形式の住宅がひしめき、それらが見事なまでの美しさを演出していまも このほか、狭い通路沿いには農家風の住宅も見られ、また集落周辺の山際にはかつての繁栄をしのぶ多くの寺社が点在していました。幕末には、明治維新に多大の影響を与えたシーボルトが「笠島は瀬戸内海の中央に位置し、地形も適している」として、船舶修理のドッグを建造しましたが、今は残念ながら埋め立てられてしまっています。

 現在、江戸後期の建物が13棟、明治時代のものが20棟ほど残っていますが、どの家も心憎いばかり工夫の跡を随所に見受けることができます。

●伝統的建造群の特徴
 建物の多くは、江戸時代後期から大正期に建てられ、切妻造、片入母屋造、または入母屋造本瓦葺のツシ2階建構造で、上階を塗屋をとし、虫籠窓や格子窓を設け、下階は腰格子付き雨戸構えと出格子・窓格子を組み合わせた表構えを特徴とする「町屋形式」の建物が建ち並び、間に土塀を巡らした家が散在している。また、壁に瓦を貼ったいわゆる「なまこ壁」の建物もあり、優れた景観美を創り出している。
 この他、坂道に沿う建物は、切石の基礎を高く積んだ上に建っているのも笠島の特徴の一つである。

●町並み道路の特徴
 集落の東にある城山に沿って南北に走る「東小路」、海岸線に平行に弓なりに湾曲する「マッチョ通り」を主道路とし、東西道路は両端で桝形となり、櫛形に海岸に向かって各枝路がある。西端には、山に沿って尾上神社前を通る南北道路があり、南の山に沿う東西道路の「田中小路」が東小路と呼ばれている。
 各道路のうちあるものは湾曲し、T字型、食い違いT字型に変わり、一部道路幅を変えて見通しができないような構成がとられている。なお、海岸線沿いの道路は新設である。